前回のブログで乳児湿疹の定義を説明しました。単純な乳児湿疹は清潔にすることで改善する、と。その理由は何でしょうか?

一番典型的な乳児湿疹は顔に出る『新生児ざ瘡』と頭に出る『脂漏性湿疹』です。ママのお腹にいたときはへその緒でママとつながっていたので女性ホルモンの影響が残っています。生まれたばかりの赤ちゃんでもまれにおっぱいが出たり生理のような出血が出ることがあるんですよ。たいていは病院のベビー室で見ることが多い現象なので、見たことのあるママさんはほとんどいないのではないでしょうか。私も前職が産婦人科病院で小児科を担当していたのでたくさんの赤ちゃんに触れて勉強しました。

生まれるとへその緒は切れるのでママからの女性ホルモンが来なくなります。するとホルモンバランスが崩れてニキビのような湿疹ができます。これがいわゆる新生児ざ瘡です。ちなみに『ざ瘡』というのはニキビのことです。

また、脂漏性湿疹は脂の分泌が多いことで頭に黄色いウロコのようなものがくっつきます。頭の脂が洗いきれずに残ってしまったものが積もり積もってウロコのように固まります。とにかくしっかり洗うことです。

これらはだいたい生後3か月ごろまでに落ち着いてきます。それまでは何となく思春期のようなニキビが多く脂っこい印象です。お風呂に入って頭を洗って出てきたのに抱っこすると何となく頭からヘアートニックを塗ったかのようなにおいがするのはそのせいです。落ち着いたらちゃんと石鹸のにおいがするようになるので大丈夫ですよ。

2大乳児湿疹はホルモンバランスの崩れが主な原因なので、いわゆる「乳児湿疹」は生後3~4か月までの赤ちゃんに付けられる病名です。乳児の定義は1歳未満ですが、3~4か月を過ぎた乳児に「乳児湿疹」と病名をつけるのはちょっと違う気がします。