子どもたちは吐きっぷりもいさぎよい。そして、これも突然。
嘔吐しても食欲が減らない子もいますが、全く食べなくなってしまう子もいます。
食事は数日程度食べられなくても問題ありませんが、水分が取れなくなってしまうのは大きな問題です。つまり脱水症です。こんな時は早めに受診してください。点滴で水分補給をすることができます。
あまりに脱水が強すぎると、点滴をする血管が細くなってしまうので点滴自体が難しくなります。
また、体のだるさも強くなりますので早めに受診してください。
ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスの迅速検査をそろえております
ウイルス性胃腸炎
ウイルス性胃腸炎とは
胃腸炎の原因ウイルスとしては、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどがあります。胃腸炎を起こすウイルスの中で一番多いのはノロウイルスで、学校、保育所などで集団発生することがあり、流行期は秋~冬です。
また、冬~春にかけてはロタウイルスが流行します。ロタウイルスは基本的には6ヶ月~2歳位の乳幼児が家庭内、保育所内で感染します。
症状
症状は、突然の嘔吐で始まり、約1日位はムカムカが続きます。嘔吐には2通りのパターンがあって、半日くらいの間に何回も嘔吐を繰り返すことが多いですが、1日1~2回くらいの嘔吐が2~3日続くこともあります。嘔吐に続いて下痢が見られることが多く、3、4日~1週間位続きます。赤ちゃんでは、下痢が長引くこともあります。
ロタウイルスの場合すっぱい臭いのクリーム色~白色をした下痢が見られ、だんだん水のような下痢になります。発熱はあまり見られませんが、時に高熱を伴うこともあります。
診断方法
ノロウイルスとロタウイルス、アデノウイルスには迅速検査があり診察時に検査が可能です。
しかし、小児が腹痛、下痢、嘔吐を訴える病気は多数あります。迅速診断でノロウイルス、ロタウイルスと確定診断できる場合は問題ないのですが、症状が出てから早いうちの受診であり迅速検査がすべて陰性であった場合でも症状が落ち着くまでは経過を慎重に見なければなりません。
治療法
特別な治療方法はありません。治療の中心は、脱水を防ぐためのこまめな水分補給、安静、整腸剤、下痢止め、吐き気止めなどの症状に合わせた処方による治療(内服対処療法)となります。
「ロタウイルス」のみ予防接種があります。
2020年10月より定期接種となっていますので是非接種してください。
嘔吐した時の応急手当
水分
直後は飲んだり食べたりせずに胃腸を休め、寝かせてあげると良いでしょう。吐き気がなくなれば(1時間後くらいがめやす)、1回5cc程度(スプーン1杯程度)の量を10~15分間隔で与えましょう。「少量頻回(少しの量ずつ回数多く)」の方法で行っていても嘔吐する場合は、吐き気止めの坐薬を使ってみましょう。坐薬を入れてから30分から1時間は「飲まない、食べない」、時間が経過してから「少量頻回」を行ってみましょう。
母乳栄養児の場合は母乳をのませてもらって大丈夫です。但し、嘔吐した直後はお腹を休める必要があるため1~2時間は授乳を控えましょう。また、一回の授乳時間を短めにするなど少しずつ与える工夫が必要です。
食事
水分を飲んでも吐かなくなれば、お米(お粥)、パン、うどんなどの穀類から始めましょう。穀類は体のエネルギーとなり疲れやだるさを取ります。お肉・野菜はもう少ししてから始めましょう。
お子さんは意外とお粥を好まない方が多いので、パン粥(お鍋に牛乳、砂糖、パンを入れて一煮立したもの)やうどんをいつもより柔らかく煮るのがお勧めです。
但し、食べられるようになっても、胃腸の働きは100%までには回復はしていませんから、少量ずつ始めましょう。
ご家庭での感染予防のポイント
手洗いをきちんと行うことが大切です。特にトイレ後、調理や食事の前には、その都度、石鹸と流水で十分に手を洗いましょう。
吐いたもの(吐物)や便は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の漂白剤)を使用し、適切に処理しましょう。吐物や便を処理する際は、使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は、石鹸と流水で十分に手を洗いましょう。