みなさん、こんにちは。

とっても久しぶりの更新となってしまいました。

今日は最近の診察で気になっていることを少し解説していきたいと思います。

一家に一台の鼻水吸引器は当たり前の時代になってきているように思います。鼻水の吸引器は家庭用と業務用では吸引する圧力や先端に付けるノズルの種類が違います。また、業務用の圧力の高いものや鼻の奥まで入る細長いチューブ状のものは一般の方では購入できないため安全性が高いと思われます。

問題は吸入器です。吸入器で使う薬液は薬局では販売されていないので病院で処方してもらう必要があります。しかし、吸入器を購入したら必ず病院で薬が処方されるわけではありません。まずはかかりつけの先生がその子にとって自宅吸入が必要な状態かどうかを判断することが先です。「自宅吸入が必要」ということは病院が診療している時間のみでは状態が安定しない、常に救急病院を受診しないといけない状態であるという意味です。吸引機のように体の外に何かを出す行為の場合は機械が多少汚くてもあまり問題はありません。しかし吸入器は機械を通して体に薬が入る行為です。機械が汚ければ汚いものが体に入ることになるので機械の正しい消毒が必須です。また、当然ながら薬の使い方にもルールがあります。その手間とルールを考慮しても自宅で吸入をしたほうが良い、また、その手間を正しく行いルールを遵守していただけると判断できる場合にのみ自宅吸入を勧めます。

吸入器で扱うものはあくまでも『薬』です。間違った使い方をすれば死に至ることもあります。

自宅で吸入するということは保護者に多大な労力を課すことになるため、私の考えでは安易に吸入器購入は勧めません。貸し出しをしてくれるクリニックさんもありますが、貸し出した方がどのような管理をしていたのかがわからず次に貸し出すときに機械が十分稼働する状態かどうかの保証がないので当院では貸し出しは行っておりません。吸入器の貸し出しをすることで治療が完了するわけではありません。私のやり方では必要であれば毎日でも受診のうえ院内で吸入を行っていただきます。実際に患者さんの状態を見ることで悪化の有無が確認できるので私も安心できるからです。時に「何度も受診してすみません」と謝罪される方がいますが全然逆です。むしろ頼って来院していただけるほうが安心です。

わざわざ受診しなくて自宅でプロと同じことができることは魅力だとは思いますが、まずはその行為が本当に必須のものなのかどうか、自宅で行うことには責任が伴うということを考えるべきだと思います。